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強酸性水でニキビの原因と言われているアクネ菌に対する殺菌効果を実験してみた

強酸性水でニキビの原因と言われているアクネ菌に対する殺菌効果を実験してみたところ、興味深い結果が得られたので紹介させていただきます。

この記事は、直接的には美肌菌とは関係していませんが、皮膚常在菌の研究の一貫で実験したことの中で興味深い結果が得られたので記事を書かせていただきました。

アクネ菌はニキビの原因菌であることは、ほとんどの方が知っていると思います。
このことは多くのスキンケア系のサイトで詳細に説明されていると思うので、本サイトでは詳細に説明しません。

「アクネ菌がニキビの原因菌であるとすれば、肌にについている菌を殺菌してしまえば、ニキビが治る、もしくはニキビになりづらくなる」と安易に考えてしまうのは危険です。

結論:肌に殺菌成分を塗布してもアクネ菌は減りません

先に結論から申し上げますと、肌の表面から殺菌成分のある液体を塗布しても、アクネ菌は死滅しません。
死滅しないどころか、逆にアクネ菌が増えてしまうのです。

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アクネ菌は毛穴の奥に生息しているので、肌の表面に塗布しただけでは死滅しないのです。

むやみに殺菌しようとすると、殺菌成分によって肌が刺激を受けてしまい、肌荒れを起こしてしまいます。
その結果、肌は自分自身を守ろうとして、毛穴からより多くの油分を分泌してしまうのです。
毛穴から多くの油分が分泌されれば、その油分量に比例してアクネ菌が増えてしまうのです。

肌荒れやニキビを治すには、殺菌に頼るのではなく、美肌菌を増やして肌のコンディションを整えることが近道であることが言えま
す。

強酸性水による殺菌実験をしてみた

上記の結論は、私自身の肌で実際に殺菌実験して得られた結論です。

【!!注意!!】
殺菌実験は肌を痛めてしまいますので、絶対に真似しないでください。

「殺菌成分のある液体」は世の中に多く存在していますが、殺菌力が強く、入手しやすい「強酸性水」を使いました。
「強酸性水」は別名「強酸性電解水」とも呼ばれており、pH2 程度の酸性が強い水のことで、強い殺菌性能・殺菌能力があります。

以下にて、強酸性電解水の殺菌力を示す表があるので、紹介させていただきます。

<強酸性水による殺菌効果>

試験菌種 菌による作用 強酸性電解水pH2.61,100mv
Escherichia coil 食中毒 30秒以内
大腸菌
Salmonella typhimurium 食中毒 30秒以内
サルモネラ菌
Pseudomonas aeruginosa 院内感染 30秒以内
緑膿菌 眼疾患 下痢
Bacillus cereus 食中毒 2分
セレウス菌
Staphylococcus aureus 食中毒 30秒以内
黄色ブドウ球菌
Staphylococcus aureus 院内感染 30秒以内
(MRSA)
Vibrio parahaemolitica 食中毒 30秒以内
腸炎ビブリオ菌
Rhodotorula sp. 水まわりの 30秒以内
赤色酵母 赤色着色菌
Candida albicans カンジダ症 30秒以内
カンジダ菌 粘膜に炎症
Cladosporium 風呂場の黒カビ 30秒以内
黒カビ菌 アレルギー性
Trichophy mentagrophytes 水虫 30秒以内
水虫菌の一種
Mycobacterium tuberculosis 院内感染 2分
結核菌
hepatitis B virus 院内感染 30秒以内
B型肝炎ウイルス
human immunodeficiency v. 院内感染 30秒以内
エイズウイルス
Escherichia coil(O-157) 食中毒 30秒以内
大腸菌O-157

※引用:日本大学歯学部保存学教室歯周学講座 / 東北大学歯学部口腔細菌学講座 清水義信 / 東北大学歯学部歯科保存学第二講座 奥田禮一神戸大学歯学部付属病院中央検査部 中央手術部 / 衛生試験報告書98.62()吉川 弓 / 大阪医科大学衛生物学教室

この表を見てもわかりますが、強酸性水は大変強い殺菌力があり、ほとんどの菌が30秒以内に死滅してしまう強い殺菌性能があります。
そのため、強酸性水を殺菌実験に使いました。

強酸性水を使った殺菌実験の手順

実験する前に、まず石鹸で顔全体を満遍に洗顔します。

次に、自分の顔に対して殺菌水をつけていきます。
このとき、あえて顔の右半分のみに強酸性水をつけます。顔の左半分は殺菌しません。

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右半分だけ強酸性水をつける理由としては、右側だけを殺菌することで、殺菌していない左半分と効果を比べるためです。

強酸性水がすぐに乾かないように、強酸性水を湿らせたコットンを顔の右半分に貼り付けました。

強酸性水の殺菌効果が確実に肌に浸透するように、そのまま15分間待ちます。

肌についている皮膚常在菌の量を計測する

洗顔後のタイミングで、肌についている皮膚常在菌を計測します。
そして、翌朝になって、再度膚常在菌の量を計測します。
計測は、顔の左半分と右半分を分けてそれぞれ行います。

実験結果の予想

一般常識で考えると、強酸性水を塗った右側の顔は、菌がほとんど死滅してしまい、翌朝にはほとんど菌が無い状態になっていると予想できます。

果たして、実験結果どうだったか、結果を見てみましょう。

実際の実験結果

ほとんどの菌が30秒で死滅すると言われている強酸性水で15分も殺菌したにもかかわらず、右側の顔は皮膚常在菌が減っていませんでした。
私の顔にはもともと黄色ブドウ球菌がありませんでしたので、黄色ブドウ球菌の効果はわかりませんが、
美肌菌については、強酸性水で15分殺菌したにもかかわらず、完全には死滅しておらず、翌朝に殺菌前とほぼおなじ量なっていました。
洗顔直後(殺菌前)と翌朝(12時間後)の左側と右側の顔についている皮膚常在菌の量を測定した結果を下の表で示します。
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さらに興味深いのは、強酸性水で殺菌した右側の顔の方が、翌朝にはアクネ菌が大量繁殖していたのです。
アクネ菌の量については、殺菌前は132でしたが、殺菌後、翌朝には532という異常に多い値になっていました。
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実験結果から言えること

この実験結果から言えることは、殺菌力が強いと言われている強酸性水をつかってもアクネ菌は殺菌できません。

死滅しないどころか、逆にアクネ菌が増えてしまうのです。

アクネ菌は毛穴の奥に生息しているので、肌の表面に塗布しただけでは死滅しないのです。

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むやみに殺菌しようとすると、殺菌成分によって肌が刺激を受けてしまい、肌荒れを起こしてしまいます。
その結果、肌は自分自身を守ろうとして、毛穴からより多くの油分を分泌してしまうのです。
毛穴から多くの油分が分泌されれば、その油分量に比例してアクネ菌が増えてしまうのです。

翌朝になると、自分でも感じることなのですが、確かに右側の顔は油の量が多かったです。

肌荒れやニキビを治すには、殺菌に頼るのではなく、美肌菌を増やして肌のコンディションを整えることが近道であることが言えます。
皆様も、むやみに殺菌は絶対に行わないでください。ニキビが改善するどころか、逆に悪化してしまう恐れがあります。

 


(追加)後日談:右側の顔にニキビができてしまいました

 殺菌実験を行った翌日から、右側の顔だけ肌の調子がよくありません。
2日後には右側のおでこのあたりに新たなニキビができてしまいました。
左側の顔は問題がありませんでしたので、殺菌実験による肌荒れが原因だと考えられます。
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